番翁のブログ

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クソ受験体験記

世間には、合格体験記という文章カテゴリがある。そのカテゴリは、「良質な合格体験記」と「良質でない合格体験記」に二分されることが知られており、そして概ね前者が全体の10%弱を占めることも私にはよく知られている。

 

良質な合格体験記とは何かという問題を考えてみると、これはなかなか恐ろしい問題で、迂闊なことを言うと多方面から叩かれる可能性があるからおとなしくしておくのが一番なのだが、しかし、そもそも合格体験記は、それがまとめて塾や予備校、また学校で配布されることを考慮すれば、後輩をはじめとする後の受験生を読者に想定したものとみておおよそ正しいと思われる、ということに関してはおそらく多数の同意を得られるであろう。つまり、合格体験記は受験生を第一に想定する読者として書かれたものであると言える。

 

となると、自然、今度は受験生が何を求めているのかという問題に至るのだが、受験生の目標が合格である以上、受験生にとって重要な情報は合格のための情報であり、合格のための情報は受験に関する事実とその事実に対する価値判断の両方を併せ持ったものである必要があるから、合格体験記には単なる事実の羅列以上の記述が求められているのだと主張したとしても、おそらく多数の同意あるいはこの文章が長いことに起因する多数の無視をいただけるのではないかと思う。そして、なにより自己の遍歴の自慢などは求められていないということがここで最も頑強に主張したいことであって、そしてそれは、自慢をしたところで受験生はそれを活かしようがないからであり、さらに言えば、もしそのような自慢が求められているとしたら、それは合格体験記としてではなく、あくまで単なる読み物としてであるということも、その頑強に主張したいことのひとつに加えても差し支えない。そのような自慢のみで構成された文章がもしあったとしたら、実際そんな文章にお目にかかったことがあるかと言われればほぼない、ほぼということは逆に言えばあるといえばあるのだが、ともかくそんな文章は、端的に言って、合格体験記である必然性がない。結局のところ、合格体験記に差し挟まれたそのような箇所は全くの無意味であるからページごと切り取って丁重にゴミ箱送りにすることにさえしたいと思うものの、極めて実際的な課題として手間と労苦がそれを許さないから、仕方ないので歯を食いしばって我慢し放置してあるというのが不幸な実情だ。

 

 

私は、ここで合格体験記を書くものではない。それはまず、題名が何よりの証左である。そしてそれは、私の体験から受験生に伝えられることがあるかどうかがまずもって不明であり、よしんばあったとしてもそれを伝達できるだけの文才も構成力も、ましてや何が受験生に求められているかを理解するのに要する分析能力も無いからである。私はそんなに偉くない。

 

ただ一点、多くの合格体験記やそれに類する文章において、たとえ良質なものだとしても無視される傾向にある内容があると思われる。これは自明なことではあるが、受験は、受験当日まで体験できないのであって、いくら同日模試を受けても、せいぜい株式会社ナガセの所有するか借りるビルなり建造物の部屋の様子を細かく観察することができるだけで、また志望大学で実際に模試を受けようとそれはほんとうの受験ではない。以上から言って、受験当日の様子を表現し伝達する文章は相当の需要があると見込まれる。見込まれるのだが、恐ろしいまでに前例がない。無論書き残したものはある。しかし受験当日より前の勉強計画や、スケジュールに比べて分量が著しく少ない。少なくとも私の知る限りではそうだ。もしそうではないという反例があったら教えていただいても差し支えはないが、ただここで問題なのはその反例がそもそも私のもとに届いていないということであって、だとするとそれは受験生のもとに情報を伝達するという意図には見事に失敗していると言わざるを得ないから、反例として成立するかどうかは曖昧であるということは留意されたい。
  

ところで、需要の存在し供給の存在しないのは、ビジネスチャンスである。本文章の主眼はここにある。ただこの記述は、合格者でなくても書ける。つまり合格体験記である必然性がないということになり、合格体験記である必然性がないのに合格体験記を標榜するのは著しく不親切であるから、これは少なくとも合格体験記ではないという体裁を取ることになった。かといって受験体験記を名乗るほど受験の総体について触れられているわけでもない。本文章は、あくまで受験当日の様子を、可能な限り漏れの無いような記述を用いて表現する目的のものであり、その目的のために一切の、もともとあったとしてもわずかしかないそのなけなしのユーモアや、大して効果を持たない徒なレトリックを排してある、少なくともそのつもりだ。かくして合格体験記は受験体験記へと変貌を遂げ、受験体験記はクソ受験体験記へと変貌を遂げた。

 

ただし、客観的記述には限界がある。なにを記述しなにを記述しないかの取捨は主観的判断から逃れられないし、突き詰めて言えば、来年以降も同様の描写が適用され得るかは甚だ不明である。このことを了承された上でお読み頂ければ幸いである。

 

なおこの文章をここまで一言一句漏らさず読み切った受験生に、仮にそのような存在が実在のものであったとして、そのような受験生にひとつ言うことがあるとすれば、クソと名の付くこの受験体験記を、この長文を、このクソ長い日本語を読んでいる暇があったとしたら、お手元の英単語帳か、古文単語帳か、赤本か、青本か、新演習か、名門の森か、掌握か、チャートか、一問一答か、なんでもよいからとりあえず開いて、スマホを閉じ、あるいはPCを閉じ、こんな文章を読んでないで勉強しろというのが今の私にできる最大限親切で、最大限現実的で、かつ最大限有効なアドバイスであるというのは衆目の一致するところであり、何よりこの注意書きを読んでいる受験生の皆さんにもたやすく同意していただける類のアドバイスであろうということはこんな私でも容易に想像がつく。

 

注意書きは終わった。事前に言っておくべきことも言い残せた気がする。あとは本題に入るだけだ。

 

 

 

私は地方、地方という言い方が適切かどうかはやはり判断しかねるので別の言い方をすると、東京から200km以上離れた市だが、そんな市に住んでいるので前日に東京入りした。同校の中には2日前から現地入りして下見をしている人もいたが、私は前日に某友人と事情あって同じ列車に乗りこんで、しばらくして東京に着き、東京に着いて初めて見た大学の文字列が近畿大学の看板であったことに驚嘆し、その後二人そろって同じタイミングでツイートした。

東京駅からなんとかしてホテルに移動し、ホテルは某京某ムのそばにある某京某ムホテルであったが、チェックインをしようと列に並んだところで小学校時代の同級生と会った。とはいえ列に並んでいるからあまり話し込むこともできず、とりあえずチェックインの手続きを済ませて、部屋に入り、買ってから3年近くが経過してバッテリーの減りのむやみに速いスマホを取り出し、充電が10%以下であることを確認し、充電をしようとコードを探したところでコードがスーツケースにあることに気づき、やや遅れてスーツケースがまだ部屋に届いていないことに気づき、仕方がないのでフロントに電話をしてみるとあと15分くらいかかると聞かされ、苦しみながら辛抱強く待っているとわりあい早く到着した。急いでコードを取り出してコンセントに突っ込み充電を開始し、先の友人を含む3人で下見に行こうと示し合わせて、しばらくしてフロントに集合したところ別の友人2人とすれ違い、そのうち1人はすでに下見を終えて御茶ノ水の東大特進に行くというからついでに地下鉄丸の内線の後楽園駅まで一緒に歩いた。

 

暑いだろうからという理由でジャンパーを脱いできてしまったことを、定員一名の手動回転扉を通って外に出たときに激しく後悔した。ビルの谷間であるからか著しく風が強く、しかしわざわざ部屋に取りに戻るほど暇人でもないのであきらめて歩を進めてゆく。後楽園の駅までは歩いて5分もすれば到着し、とりあえず改札を通り、ホームに上がったところで地下鉄なのに線路が地下にないことをこの目で確かめ、赤のカラーが御堂筋線みたいだとよくわからないことを言いながら、到着した車両に乗り込んで一駅東に向かう。東大特進に行くもうひとりはさらに遠くまで行っていたが、残りの4人は本郷三丁目の駅で下車し、地上に出て、大通りに出たところでどうやら自分たちと同じ雰囲気を漂わせている受験生を見かけ、見かけたところでなにもイベントが発生しないのでとりあえず歩いて赤門のほうを目指す。

入場するのは正門で、赤門より北にあったから少し歩行するとまず右手の敷地内に私の受験教室がある建物が見えてきた。ガラス張りのそれっぽい建物だったが、外から教室の詳しい様子が見えるはずもなく、特に中を覗こうという試みをなんらなさないまま正門に到達し、一応写真を撮り、写真を撮っても受験に有利になるわけではないということを念のため理解し、やはり写真を撮っている受験生と思しき人々や予備校関係者と疑わしき人々を眺めつつ、かといって何もしないで帰るのも癪だったからおもむろに575を探し始める。天下の東大ともあろうのになぜか一向にきれいな575が見つからず、ようやく同行の某が57577をひねりだしたところで正門を後にする。

 

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約70m先にある門で診察券をご提示ください

 

正門を後にしたくらいでTwitterのFFがエンカしたいと発言しているのを耳にし、いや音声ではないから目にし、せっかくなので会ってやろうという意気込みで現在地をほのめかすとなんだか来るのかどうか会いたいのかどうかよくわからない反応が返ってきて、ひとしきり困惑したので赤門を通り過ぎ、その南70mにある名前の忘れた小さな門の前で移動を停止した。急いでる4人組だと情報をくれたのだが、いかんせん急いでるという情報が抽象的過ぎてお話にならないななどと思っているとどうやら急いでそうな4人組が現れたので声を掛けたらそうだった。頼むからエンカしたいときはなるべく具体的な情報を提供することを心掛けてほしいものだ。

 

エンカを終え、待たせていた友人とともに、こんどはキャンパス東側の門を確認しに行く。キャンパスの外周に沿って途中で左折し、さらに右折して懐徳門の方角へと向かうと右手に自動販売機が見え、そこにMAX COFFEEの缶が売られているのを視認したから私の住む地域では珍しい商品なので、これを購入した。さらに南に向かって歩くと、確か懐徳門のちょうど向かいかそこらへんだったと思うが、ポッカサッポロの自動販売機を発見し、そこでLEMON MADEというレモネードが売られているのを視認した。これはポッカサッポロの自動販売機でしか売っていないため入手がやや困難である代わりに非常においしいことで知られており、友人がやたらと好きなのでせっかくだし写真を撮って送りつけようと思ってスマホを取り出し、カメラを起動し、写真に収め、いざ送りつけようとLINEを開いたところでスマホの電源が切れた。

 

しかたがないので写真送付はあきらめ、今度はキャンパスの東側にある入り口を確認しようとぐるっと回って東側に至ったが、龍岡門より先に入れないことが判明し、どうするかなどと考えているとそこにいた守衛さんと思しき方が軽い説明をしてくださり、これでもう用事はないということでキャンパスを後にしてホテルに戻る。ただし帰りは本郷三丁目の交差点から西に向かって歩き、特に受験的ではない話題を繰り広げながら坂を下って春日町の交差点に到達し、ここを右折したところで右手になにか見覚えのある銅像のようなものを発見した。この銅像に見覚えがあるのは、なにも知り合いだとか、遠縁だとか、あるいはよく似た赤の他人であるとかそういうわけではなく、この銅像の人物が出身高校の設立に深く関わっており、なんなら高校に銅像があり、さらにいえば卒業アルバムの一部の写真をそこを背景にして撮影したくらいの関わりがあったからだといえる。

 

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嘉納治五郎

 

その高校の歴史を語るときには必ずこの嘉納治五郎から話が開始されるといっても過言ではないのだが、それに対して嘉納治五郎の側の歴史にはほとんどといっていいほどその高校の名前は出てこない*1ということは、つまりはそういうことなのだろう。なお賢明な読者諸氏の中には、先ほど電源が切れたはずのスマホでどうやってこの写真を撮ったのだという至極まっとうな疑問を抱かれる向きもあろうが、これは単純な話で、電源が切れてもなぜか再起動できるのである。ちなみにその場合電池残量はひとけた%から時には30%を超えることもある。仕組みはよく知らない。

 

そういうわけで私含むご一行は東京に居ながらにして謎のホームグラウンド感を味わい、そのままホテルに帰ってきた。なんでも17時くらいから高校の英語科教諭がロビーにきて地図を渡すか話すみたいなことを聞いたが、それまでまだいくらか時間があるので、とりあえずスーツケースから表が黄色裏が赤色の風呂敷包みを取り出し、そこに包まれていた古文単語帳と漢文必携を取り出したところで急に受験を身近に感じ始めて著しく恐怖を覚えた。それから古文単語帳を開いて脳みそに意味をどんどん溜めていくが、あまり溜まらないうちにロビーに集まる時間になったので下に降りてみるとそんなに同級生が来ていなかった。しばらくするとぽつぽつ集まり始め、その中に見慣れない顔とどこかで見たことがあるような気がする顔が並んでいるのを見てこれはいったいどういうことだろうと思いを巡らせていると、英語科教諭がこいつらは君らの先輩で、みたいなことをおっしゃった。なるほど、さては激励か何かだろうなと思いながら私は私で同級生と談笑していると英語科とOB2人はどこかへ消えていった。激励はあまり行われなかった印象があるが、これが本当に起こったことかは確証を得られない。なお英語科が配布した地図は一部受験会場の場所を誤っており、いよいよもって使えるものがなくなった。ただこれは英語科が決して働かないとかそういうことではないのだろう、生徒の対応も行ったと聞くのでそれほど悪くはないかもしれない。

 

しばらくしてから談笑も止まり、各自がホテルの部屋に帰る流れになったので私もそれに便乗して部屋に戻った。夜ご飯のために外出するのがはばかられたので、近くの店で天丼をテイクアウトした。おいしい。だがおいしいおいしいといくら連呼したところで明日以降のテストの点数が上がるとは一切限らないから、天丼の空の容器と折り合いをつけて食事を終了し、風呂に入り、風呂から上がり、先ほど中断していた古文単語帳と漢文必携の確認を再開した。再開するとじきに、あれだけ小テスト前の1日かせいぜい2日に必死で詰め込もうとしたときは2周してもほとんど脳内に残留しなかったのに対し、今回はするすると脳内に意味が残存するようになった。大事な試験直前の焦りは何よりも効果があるということを示唆しているのかもしれないが、とにかく普段から真面目に古文単語帳を必死で眺めようとしていなかった高2のころの自分の怠惰さに胸が痛み、今後のためにも丁寧に反省した。これを漢文必携の最後の1ページに至るまでやり通していよいよ就寝できたのが具体的に何時だったかはあまりよく覚えていないのだが、今になってわざわざツイートを読み返していくとどうやら23時過ぎにはベッドに入って寝たらしい。本当のところはよくわからない。

 

枕元に置いてあったスマホからそこそこの音量で流れるソ連国歌の音で6時30分ごろに目が覚めた。山ほど眠たかったのでベッドから這い出るのに一苦労したが、あまりここで苦労を重ねると遅刻の危機が現実味をいよいよ増して来るので、前日にコンビニかどこかで買ってあったパンをひとつ、これは私が少食で、朝いっぱい食べるとほぼほぼ間違いなく昼間におなかを壊すからなのであるが、そんな朝飯を食し、気合で着替えてもろもろの準備を行い、ロビーで待ち合わせをして友人とキャンパスを目指した。歩いていくのは体力を無意味に消費するだろうからという理由で丸の内線に乗って一駅、さらにそこから昨日も通った道を歩いて正門へと向かう。途中、本郷三丁目の交差点の北東の角を通るときに、何やらインタビューをうけている学生、おそらくは受験生がおり、それをはす向かいから遠めに眺めながら、俺らもインタビューされたいなぁなどと欲望を語り合っていると、おもしろいことを言っていれば話しかけてくれるのではないかと同行がのたまい、これはもうなぜそうなったかはすっかり忘れてしまったがコウメ太夫の話題になり、ワンチャンこちらにカメラを向けてくれるかと期待していたら結局スルーされた。コウメ大夫が悪い。さらに北に向かって歩くともう一回テレビクルーかあるいはそれに類するマスコミの集団が見えたので、ワンチャンを狙って関西弁丸出しの会話をしながらそばを通ったところ、ものの見事に無視され、むしろ関西弁だったり変なこと言ってたりするから話しかけられないのでは、というおそらくもっとも真相に近い結論に至ったところで正門前に着いた。到着したのは敷地に入ることのできる刻限より数十分は早かったが、すでに門前にはそれなりに受験生と、その取り巻き、保護者か、あるいは塾講師か判別はできないが、とにかくそういった多種多様な人々が集まっており、列を形成していた。ただ列は歩道に出るか出ないかのちょうどギリギリくらいの長さで、その最後尾に並んでふと前を見ると塾の数学講師がおり、軽い挨拶をしたところで、ところでマヂカルラブリー野田クリスタルに似ていませんかと同行が聞いていた。今このタイミングで聞くことが正しいかどうかはよくわからないが、しかし確かに似ているので、どう返答するのだろうと思っていると、それ講習の時に初対面の中学生に言われたわ、とおっしゃった。既出かよ、というか初対面でそんなことよく言うわと思っていたら、同行もその講師の授業を受けたことがないらしいので余計にタチが悪いことが判明し、ついでに、英語教師がくりぃむしちゅー有田哲平に似ているので、コンビ組んでM1出たらどうですみたいなことを言ってみたら、俺がツッコミやったらええけどあの人のツッコミは受けたくないやろ、とすぐに返答があり、すぐに返答があったということはすでに想定済みなのかななどといい加減なことを考えていたが、列も前に進みだしたのでがんばりますと最後に言って会話を終了した。直後に、ふたり前に並んでいた人が振り向いてそれが同級生だったことが発覚し、3人でのんきに会話しながら列の進むのをゆったり眺めていたが、かなりこれは迷惑かもしれないと思っていると、周りの人を和ませてるんやと同行が言うから、迷惑なだけやでと適切なコメントをしておいた。やがて門をくぐる番になり、ここで受験票と体温を記入した用紙をカバンから出して職員のような人に見せる。後者の用紙は回収されるのかなと思っていたら回収されず、よく考えたら同じ用紙に2日目の体温を記入する欄もあるから回収されるはずがないのだが、そんなことに気づくわけもなく、門に入ってからどこに行けばいいのかと狼狽する。私の受験教室は門を入ってすぐ右に曲がったところにあるからそちらに行きたいなと思ってはみるが、やはり職員のような人が立っていてそちらに入っていける雰囲気ではないので、まさか強行突破するわけにもいかず、諦めて前に進んでみるとどうやら6列くらいに受験生が整列させられている。ほうこれは歩道に待機列が延長して密になりついでに歩行者の妨げとなるのを解消するための措置だなと自明のことを偉そうに考えながらどこかの列に並び、周りは静かに並んでいたが、やはり同級生と3人で仲良くおしゃべりをしていた。さすがに受験当日ということもあり受験に多少関連のある内容を会話した気もするが、詳しくは記憶に残っていない。ただ最後に、数学0完でも受かる人いるっていうけどあれマジなん、と同行が言ったのに対しそれは受かってる人がそう言うからやで、と返したら、それ生存性バイアスな、と言われて不覚にも語彙力の欠如を割と周囲に伝わる形で露呈させてしまったことは大学入試における後悔の1つである。

 

そうこうしているうちに整列が解かれ、受験生がみな自らの受験教室へと散らばっていったので私もその中に混じって教室を目指す。さすがに早いほうだったので教室に入ると誰もおらずそこそこ嬉しさを感じていた。なお、教室に入ってまず目についたのは長机に設置された段ボールとビニールでできたフェイスシールドのような何かである。各受験生の席にひとつずつていねいに設置されてあるから教室全体ともなるとかなりの量が取り付けられており壮観であった。それから教室を見回してみるといろいろなものが目に入ってくるが、これは各教室で差異がありあまり参考にならないかもしれないということを断ったうえで話すことにして、まず前方に黒板が設置してあった。それから壁に軽い注意書きや、糸でつられた冊子、回るタイプの椅子がふたつ、教卓のようなものなどが目に付く。教室自体は横に3人座れる長机が10~20個くらい置いてある、そこまで大きくはない部屋で、その長机の端の2席に受験生が座るようになっていた。フェイスシールドは自分の机に対し、わかんむりのような形で取り付けられており、微妙に手前、つまり自分側に突き出しているため解答用紙を置きづらいし手も伸ばしづらいのではという懸念も感じられた。だからといってまさかフェイスシールドを破壊・撤去するわけにもいかないので、おとなしく席に座り、ちなみに席は回転椅子であった、そこそこふかふかしている、カバンを置いて、ふぅと一息つき、持ってきた古文単語帳を取り出そうと思って、やっぱりめんどくさくなってスマホを開いた。こういう時はTwitterに限る。

 

ところが、なぜかあまりTLが活発ではなかったので、早々にTwitterをやめて、古文単語帳は開きながらも、スマホにイヤホンをつないでYouTube六甲おろしを聞いていた。特に阪神ファンということはないが気分が上がる。もし不快に思った阪神ファンあるいはプロ野球ファンがいらっしゃったら申し訳ない。しかし聞いてしまったものはしょうがないし、なによりテンションは上がったのも事実だからこれ以上深く考えるべきではない。なおこの間隣かその隣の教室だかにいると思われる他校の友人が廊下を通るのを右目で探していた。しばらくしてその友人が廊下を通り、なぜかこっちを見たので目が合い、教室は異なるはずなのになぜかこっちに近づいてきて、よう、だかなんだか軽い挨拶をしたところで首席おめでとうございますと言われたのでお前ほんまにやめろよと言っておいた。受験当日に面と向かって低レベルな煽りを口走るのはほんとうにやめてほしいものである。

 

 入場終了時刻の15分前くらいになるとかなりの受験生が集まり始め、またこのタイミングで試験官がいろいろな荷物を持ったうえで教室に入ってくる。人数は3人で、うち2人が胸に赤いリボンのようなものと青いリボンのようなものを付けていた。なおのちに確認したところ3人ともにこんなリボンはついていた(青が2人)から、単に私の見落としである可能性は高い。この時点では参考書などを見ていてもかまわなかったので、とりあえず六甲おろしを聞き続けていたが、ついに受験票に記載された刻限になるとそれらもしまうように通達された。ここからはだいたいお決まりの手順を繰り返すことになる。スマホなど電子機器を卓上に出すように言われ、次にそれらのアラーム設定を解除し音が鳴らないようにして電源を切るように言われ、問題用紙と解答用紙が配られ、そして本人確認がなされる。ただし1日目の国語の始まる前だけは、受験票の顔写真の上に、ちょうど共通テストでやったのと同じように透明なシールを張るという操作を要求される。なおこのシールの台紙は各自で持ち帰るように指示されるので、私はけなげに自宅にまで持ち帰り、今も自室の本棚の片隅で余生を過ごしている。さて、配られた解答用紙には試験開始前に名前と受験番号の欄をすべて記入するよう言われるので、この時点ですべて書いておく。ちなみに解答用紙のフォーマットは東進のものが比較的近いような気がするが、あまり定かではない。ただ解答用紙の右と上の辺に太めの線が引かれてあるのは印象的だった。だいたいこれらが試験開始時刻の15分前に終わるからあとはひたすら空虚を楽しんで待つしかない。ほかの受験生が何をしていたかはいまだ判然としないが、私は特にできることもないので試験官のほうを眺めたり、般若心経を唱えたりして精神の統一を図るも、失敗し、なんだかよくわからない精神状態のまま開始のチャイムを聞くことになった。

 

試験のことは、国語に限らずあまり語りたくもない。しいて共有しておくべき情報があるとすれば、教室には時計がなく、15分前に一度だけ試験官にその旨の通告があったことである。他教室がどのような扱いだったかは知らない、少なくとも時計の有無に関しては何も言えないのだが、15分前の通告に関しては一般的に適用されうる情報だと思う。

 

国語の試験の終わりもチャイムで通告され、そのまま解答用紙が回収されて、集計らしきものが行われると試験官の一人が封筒か何かに全員の解答用紙を入れて、部屋を出てどこかに去っていった。何をしているのだろうと思っていると、残った赤リボンの試験官が、退出まで15分ほどあるからそれまで席を立たないでくださいと言う。おそらく本部かあるいはそれに準じるところに持っていって、全体で集計を合わせているのではないだろうかなどと考えていると、ほんとうにちょうど15分ほど経過したところで試験官が戻ってきて、退出が許可された。昼ご飯は受験生同士の会話なく自分の席で食べるように指示された。事前に買っておいた弁当を取り出し食すが、あまりにも小食なため一部を残してしまったことは今でも申し訳なく思っている。

 

さて昼ご飯をカバンになおし、スマホを取り出したか何だかしたところで例の他校の友人がやってきた。早すぎると思って聞いてみたらあまり食べないらしい。なるほど、と思いつつ、教室内で話し続けるのも顰蹙を買う可能性が十分にあるのでとりあえず教室を出て廊下に移り、さらに階をひとつ下に移して知り合いの緑色の服が見えないかを探してみた。教室をのぞき込んでみたところ遠くに緑色のなにかが見えたのがあまりおもしろかったので笑ってしまった。視認性が高いのはいいことである。

 

そんなことをしているうちに緑色が席を立って近づいてきたので、この3人は顔見知りであるから少しの間会話が続いた。さらに同校の某もやってきて4人で話し始めて、すぐにこれが迷惑な行為であるらしいということに思い至り、そこで他校の某と建物の外に移動して、目の前の道の隅で寒風吹きすさぶ中突っ立っていた。ところが路上には受験生の多いこと多いこと、そろいもそろってこのクソ寒いのに何をしようとしているかなどと議論し、散歩ではないかと仮説を立てて、とりあえず通りがかった他校の某の友人に外出の目的を聞いてみると散歩だと答え、次に通りがかった同級生にも同様の質問を投げかけてみるとやはり散歩だと答えるので、どうやら本当に散歩のために外出しているらしいということがはっきりした。

 

その後、なぜだか建物の前で寒空の下延々くっちゃべっているとどんどんどんどん同級生が集まってきて、唯一他校の某には申し訳ないことをしたとは一応謝っておくが、何とかして場が持つようにと努力しようとし、すぐにそんな努力がなくともなんとなく空気が保たれていることに気づいてかなり安心した。何を話していたかはあまり覚えていないが、何やら不謹慎な話になりそうなところを必死で止めていた記憶がないではないが、定かではないので、明言を避けておく。

 

ところでこの時間中に一大イベントが発生したが、これに関してはあまりぺちゃくちゃしゃべりたくないので、気になる方はDMなりなんなりで連絡されたい。気分次第で答えたり答えなかったり嘘をついたりごまかしたりする。

 

さてそのうち数学のテスト開始時刻が迫ってきたから、いつまでもおしゃべりを続けていると試験開始に遅れて著しい顰蹙を買ってしまうから、途中で切り上げて教室へと退散する。今日会わなかった人間は安田講堂前にいるらしい、確かにあそこは人が多いようだったが、そこに行くのは翌日にして、とりあえず教室に戻り、お手洗いに行き、戻って、六甲おろしを聞き、なんだか少し緊張してきたのでなんとかならねえかなぁと無意味な思索を繰り広げたところで腹痛が発生し、非常に状況が芳しくないことを憂いながら、とにかく試験開始を待つと、なぜか腹痛が引き、これは天佑だと井上馨のようなことを心の中でのたまいながら、試験官が入場し、例の顔写真確認やらデバイスの電源がどうたらとかが終了した後で問題用紙と回答用紙が配られ、やはり15分ほど経過してからチャイムがなって試験が無事に開始された。

 

どう解いたかは覚えていないし、思い出したくもないし、私がどう解いたかを書いたところでこれっぽっちの役にも立たないことは火を見るよりもメーデーの再現映像を見るよりも明らかなので書かない。興味があるなら他の人がずらずらと書き連ねているのを見る方がよっぽど役に立つかも知れないし、あるいは私が書いたとしたらそうなるのと同じくらい全く何の役にも立たない可能性は十分にあることをしっかり認識しておくのがカップラーメンの時間をきっちり目に測ることよりも重要である。とにかく、そんなものはここでは無意味であり、無意味なものを書くのは作法に反するから書かない。一応、以下に当日の心境を付記しておく。

数学が終了した時点でこの日の試験は全て終了のはずだからなるべく早く教室を後にして心地の良いホテルにこもって何たらかんたらしたいのだが、ところが試験官が集計した解答用紙を持ってどこかに消え去ってから、教室に残った試験官が15分ほどで退出できますのでそれまで静かにお待ちください参考書や電子機器は使用しないでくださいとお決まりの文句を口走って、この言葉を信じて時計をにらみながら15分きっかりが経過し、16分が経過し、17分、18分、19、となかなか一向に解放されないことを内心イライラしながら、それでも暇なものはどうしようもないし、まさかお手洗いに行くわけにも、実際のところ行っている人は多かったのだが、とにかくじっと数学の問題用紙にガンを飛ばしながら耐えていると26分が経過したところで解放された。この試験官は嘘つきだ、と思ったが、しかし堂々と15分と宣告しておいて嘘だというのはどこか解せないところがあるから、言い間違えたか、あるいは本人も26分かかることを知らされていなかったのだろうと適当に予想を立てて、20秒のうちに全ての荷物をカバンにしまって即座に退室し、建物を出て、歩いていた同級生と合流して正門から帰ろうとしたら正門が詰まっていて、その中の男子の多いこと多いことまさに男子校ではないかよく見慣れた光景だと思いながらひたすら歩いてホテルまで戻ってきた。

 

ホテルに帰ってくるととりあえずベッドに倒れこんで激闘を終えた自らの体をいたわり、いたわってばかりいると明日いたわれ無くなってしまうからとりあえず風呂に入って、買ってあった弁当を美味しくいただき、もう一度ベッドに倒れこんで無心で数学からの解放を満喫していると、どうやら理科と英語からは解放されていないようだということに今更気づき、とにかく持ってきた化学の教科書、生物の教科書、それから資料集2つ、そして鉄壁を机の上に広げ、現在時刻と就寝時刻を頭の中で差し引きし、優先順位のリストと交互に脳内で見比べこれはどうやら生物の教科書を死ぬ気で読み終えてギリギリだなと勘定し、生物基礎と生物の教科書を誠にもって死ぬ気で読み漁る。 

多大なる気合いと圧倒的な集中力で以って2冊を読み終え、カバンに放り込み、般若心経を唱え、ベッドに潜り込み、睡眠を行う。

 

枕元に置いてあったスマホからそこそこの音量で流れる統一列車の音がなる10秒前の6時29分50秒ごろに目が覚めた。昨日より心の余裕が生まれていたから危うく二度寝へと突入しかけたが、突入しかけたところでもう一度統一列車の音が流れたので無事に起床を行う。やはり山ほど眠たかったが、昨日と同様の理由でなんとか朝ごはんを食べ、同様の形式で友人と待ち合わせをして駅まで歩き、地下鉄に乗り、駅で降り、歩き、なんとかして正門前にたどり着く。昨日と同じような列ができていたから昨日と同じように最後尾に並び、しばらくすると列が動き始め、正門を通るところで昨日のように検温用紙と受験票を見せ、中に入り、中に入ったところで6列ほどに整列させられ、あえてあまり並んでいないところに並ばずにやたら長いところに並んでみると、群集心理とは恐ろしいものであまり並んでいなかったところには誰も並ばなくなった。少し申し訳ないことをした気もするが正直これほどのことで申し訳ないなどと毎回思っていたのでは命がいくつあっても不足して困惑してしまうからとにかく無視して整列し雑談を繰り返していたところで昨日とは異なるアナウンスがなされ、何やら別の広場へ移動させられた。広場では列は形成されず各自が各自で固まって待機させられ、仕方がないから同級生と集まって何やらしょうもない話をしてしばらく待つと待機が解かれて各自教室へと三々五々向かい出す。しばらく歩くと教室にたどり着き、昨日と同様の状態であることに納得し、カバンを置き、スマホを取り出し、Twitterの流れる速度の遅いことに嘆息し、教科書を取り出したところで、生物の教科書2冊しか入れていないことに気づいて半ば絶望の淵を味わったが、味わったところで、よく考えてみれば今更読んでも意味がないなということに気づき、実際のところそんなことはないのだが、そうでも思っていないと精神的な自我の崩壊へと至ってしまうから、とにかくそんなことを信じ込みながらお経を唱えて心を落ち着かせてみる。

さて試験官が15分前に入室し、なぜか全員昨日と異なる人であることにあっけに取られていると、よくみれば胸元のリボンは同じであるから安心した。やはりというか、もはや自明ではあるが、昨日と同様の手続きが試験開始までは行われてゆく。ただこの時点でリスニングの確認放送があったかもしれないのだが、これは完全に失念してしまった。少なくとも英語の試験の直前にはあったと思うが、確か理科の試験前にもあったと思うのでその概要を記しておくと、何か放送が流れ、日本語が流れてきたので思わずイヤホンを取って何か大事なことが流れているのかと耳を傾けると、受験生のみなさんは聞く必要はありませんと確かに耳にしたのでそういうことは早く言うものだぞと憤りながら再びイヤホンを耳につけた。何やら試験官が放送が正しく聞こえていれば教室に備え付けられた緑色のボタンを押し、聞こえていなければその上にある赤色のボタンを押すことになっているらしいが幸いこの教室では特にトラブルなく音声が流れたので緑色のボタンが押された。直後、別の音声系統を使って同じ放送がなされ、やはり緑色のボタンを押していた。なおこの時、試験官が緑色のボタンを押してから、放送で、では押してください、はいどうぞと流れるのには思わず笑いそうになってしまった。国立大学の入試ともなると緑色のボタンを押すタイミングさえ指定されてしまうのかと思うと試験官が不憫になり涙が溢れ出てきそうだったが、涙を拭くのも面倒なので特に涙を流すことなく試験開始に備えてお経を唱えている。

 

さて試験は150分きっかり続き、その後どうなったかは以下に引用する通りである。

ともかく理科が終了したので昼休みに入る。昨日と同様にして弁当を食し、あまり量を食べないので早めに切り上げて外に出たところで昨日と同様のメンバーで話し、せっかくだからと安田講堂の前の広場へと向かうとまぁ同級生の多く集まっていること甚だしく、何やら色んな無駄話に興じているとあっという間に休み時間が終わりそうになった。無論知らない受験生の方が多かったが正答を叫ぶなどという迷惑な受験生は自分の知る限り現れなかったことを考慮するとそれなりに治安が良かったのではなかろうかと思う。なお自分の出来が悪いことを無闇な大声で叫んでいる受験生は確認できたが、彼が合格したかどうかは今の時点では知らない。

 

さてもう直ぐ英語の試験が始まるからと教室に戻ろうとしたところで、何やら建物から画一な段ボールを持った職員のような人々が列をなして移動していくのを見て友人がガサ入れかなと呟いたのは今に至るまではっきりと記憶に残っている。確かにガサ入れのようであった。

 

教室に戻るとまだ時間があったのでやはりイヤホンから外国語の音楽を垂れ流してみる。

無論これが役に立ったかあるいは役に立たなかったかで言うと、どうもリスニングの調子が悪かったことからはっきりと逆効果だったとは言えないまでも多少の悪影響があったと考えるのが妥当なように思われる。そうとも思わずに音楽を聴いているとやはり放送があり、先ほど説明したようなくだりがもう一度行われた。試験官が再び緑色のボタンを押すと、あとは回答用紙と問題用紙が配られ、本人確認がなされたあとは試験開始のチャイムが鳴るまで15分ほどお待ちくださいと言われて、15分待つと試験が開始した。特筆することもないと言えばないのだが、強いて言うならばリスニングの試験が終了するに際し、リスニングの放送自体が終了したのちに試験官もリスニングの試験が終了したということを口頭で伝えてくるというイベントが発生したことくらいであろう、ただこの情報がどれだけの価値を持っているかはわからない。なおよく音響について受験生は不安になるし、実際私も受験する前は音響がはっきりとしたものかどうかかなり不安になったものだが、蓋を開けてみると音はわりあいはっきり聞き取ることができた。これは確かに私の座った位置がスピーカーのすぐ近くということもあろうが、しかし部屋全体で特に聞き取りづらいことはなかったと推察している。もちろん部屋によっては事情も異なろうから一般論は言えない。訛り、訛りというべきか、なんというべきかは私は不幸にして言語や音声に詳しくないからなんとも言えないのだが、とにかく、独特の訛りのようなものに関して言えば最後に流れるスクリプトだけ極端に舌を巻いたような発音だった気がしないこともない。全てを覚えているわけではないから確実な情報ではないがそんな気がする。また、英語の試験中に考えていたことについては以下の引用文を参照されたい。

また英語の試験とは直接関係がないが、試験中に以下の内容を考えてひとりで面白いなどと腹の中で笑っていた。

なお写真は試験が終了し、電子機器の使用が許可されてから撮影したものであることを付記しておく。

 

さて解答用紙を回収し、それを袋に入れた試験官が退出して、昨日ならここで残り15分と大嘘がコールされたわけだが何故だか今日は具体的な時間の表明がなされない。なされないのはなされないので、確かに嘘はついていないが困っていると、15分経っても帰れず、仕方がないので問題冊子の後部に付属しているドイツ語やフランス語の問題とにらめっこをしてみるが相手が相手なので一切勝てない。勝てないのは仕方がないが時間は消費されなければいけないのでにらめっこを続け、しばらくしたところで退出が許可された。教室を出て、建物を出て、友人と合流できなかったので正門まで1人で歩くと正門で友人と合流できたのでとりあえず歩いてホテルまで帰る。

 

帰ったはいいものの私はお家に帰ることができず、もう1日拘束されるわけだが、かといって勉強をするほどの試験ではないので、諦めて同様の境遇にいる人複数名を集めて夜ご飯を食べにいった。ホテルを出て、なんとなく南に向かうと水道橋の駅にたどり着き、駅前すぐのところには飲食店がなかったのでさらに南に向かって歩き、ああでもないこうでもないと無為に歩いていると、これはどうやら永遠に入るべき店舗が決定しない流れになってしまったなと気づき、それでも誰かがどんどん進んでいくのでこれはまずいということで何かいい店を探そうとするが見つからない。ある程度進んでそろそろ引き返したくなってきたと友人とこそこそ喋ったところで見覚えのある店名の店が立ち現れた。高校の近くにある店と同じ名前で、それでもより美味しそうな店だったのでここにしないかと言ってみると先に進まれてしまい、あぁこれはまずいことになったと思っていると先に進んでも思ったほどの店がなかったのですぐに引き返してきて名前が同じ店に入った。角煮定食を食した。美味しかった。

さてホテルに戻る途中でコンビニに寄って何かを買った気がするが何を買ったかはあまり覚えていない。部屋に戻って風呂に入り、テレビを見、スマホを見まくってややすると眠気が押し寄せてきたので特に抗わず素直に就寝した。

 

アラームをかけた時刻は忘れてしまった。ただ面接の集合時刻が遅かったので無理な早起きはしていない。ほとんど自然起床のようなものだった。起きてからも特に何かに急かされることはないからぼーっとスマホを触りながらベッドでうだうだしていたが、うだうだしてばかりもいられないのでとにかく着替えてコンビニに行って昼ご飯をごく軽く購入して食す。食し終えたところでそろそろかなと思い立ってキャンパスへ向かい、正門前で某友人と落ち合った所からのことは、以下の記事に詳しく記してあるし、わざわざここで同じことを繰り返すとすでに肚の中の寄生虫ほども長い文章がその倍ほども長くなってしまうので割愛する。以下を参照されたい。

 

mononobenome.hatenablog.com

 

 

あとは帰還するだけだが、ホテルで預けていた荷物を回収して駅に向かい、思ったより早く着いてしまったので時間をはやめようと思ってなんとかの窓口に行くとここは東日本管轄だから東海さんの方に行ってくださいともっともなことを言われ、東海さんの方に行くとこれは変更できない切符ですと言われたので自分のあまりの未熟さに悔しさを覚えながら駅弁を買いに行った。買いに行ったがあまりに量が少ないので外の百貨店で何かを購入し、電車に乗り込み、帰った。帰ったのは深夜というほどでもない深夜だった気もするし、そうでもない気もする。

 

 

以上でこの長い長い長い長い受験体験記、クソ受験体験記は終了である。無論はじめの方に警告をした通り、この文章を読んでいる暇があったら勉強しろと受験生にはきつく言ってあるから、この箇所を読んでいる受験生など非存在の概念であるはずなのだが、もし万が一、天文学的確率をすり抜けたほとんど起こりえないバグが実際に起こってしまった時のようなあのバグとも言える存在に近似可能な受験生がいたとして、まさかこの文章を読んだせいで成績が下がったなどと論理的に破綻の道筋を非常な勢いで突き進んでいる言説をぶつけられても、やはりぶつけられると痛いので、一応補足説明とあとがきと言い訳と自己満足を兼ねた蛇足を以下につらつらと書き足してこの記事の末尾としておこうと思ったが、そんなことをしているとこの記事の文字数が20000文字をゆうに突破して誠にもって読みづらいことこの上ないものになってしまうから、やっぱりやめておく。

 

おそらく誰も覚えていないことであろうが、この記事の出だしのところで説明した趣旨の通り、これは客観的記述を目標として書かれたものであり、今軽く読み返してみると見事にこの目的には失敗していると言って差し支えないだろう。客観のかけらもない主観の塊のようなこの文章を最後まで、途中を諦めて読み飛ばした人々もそれなりにいることではあろうが、どのような形であれ最後まで読んでいただけたのであれば、それなりに感謝したいと思う。ただしこの文章を読んで自分の役に立ったとかそういうことを言われても、それは全くもって大嘘に他ならないからそういった意見は一切無視させていただく。それからこの文章が非常につまらないなどという意見も、精神衛生上著しくよろしくないものであることに違いはないから同様に無視させていただく。ただし面白かったとかそういう前向きな意見についてはいつでも当然募集しているからなんらかの手段で伝えていただければ幸いである。

 

P.S. 私がこのように受験体験について呑気にブログに長い駄文を挙げているのをみると、なんだか私が受験を楽しんでいたと勘違いされる向きが現れようかと思うので念のために訂正しておくと、そのようなことは全くもって金輪際絶対に何があっても真実ではない。受験はクソであり、受験勉強もクソであり、受験にまつわるあらゆる体験は真なるクソとして私の脳裏に刻まれている。ただクソの中でなんとか楽しめる要素はないかと必死に探して、探し出せたかよくわからないまま抽出したものが以上の文章である。ご理解を。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:これを書くにあたって気になったのでWikipediaで調べてみると、ちらっとだけ出てきた